合成開口レーダー干渉測量(InSAR)は、衛星レーダー画像間の位相差を利用して地表の微小な変動を逆算します。その中でも DInSAR、PS-InSAR、SBAS-InSAR は一般的かつ相互補完的な3つの技術です。DInSAR は広域・事象的な急速変動の評価に適し、PS-InSAR は都市や構造物などの安定した反射点に対して点ごとのミリ単位の長期時系列を提供し、SBAS-InSAR は多時期の小基線処理によりデコリレーションを低減し、植生被覆地や地形変動が激しい地域に適します。以下では、それぞれの原理・違い・選定方法を説明します。
クイック比較
| 項目 | DInSAR | PS-InSAR | SBAS-InSAR |
|---|---|---|---|
| 正式名称 | 差分干渉 | 永続散乱体 | 小基線サブセット |
| 検出精度 | センチ単位 | ミリ単位(点ごと時系列) | ミリ単位(面的時系列) |
| 必要画像数 | 少(2時期で可) | 多(数十時期以上) | 多(数十時期以上) |
| 適用地域 | 広域の裸地表 | 都市・岩盤・構造物 | 植生・農地・地形変動域 |
| 変動形態 | 事象的・大規模 | 長期緩慢・点ごと | 長期・面的 |
| 計算コスト | 低 | 高 | 高 |
| 代表的用途 | 地震同時変動・大規模崩壊 | 都市沈下・建物と橋梁 | 地盤沈下・地すべり危険域 |
各技術の原理
DInSAR(差分干渉、Differential InSAR)
DInSAR は2時期(または少数時期)のレーダー画像で干渉を行い、地形位相を差し引いて視線方向(LOS)の地表変動を求めます。利点は必要画像が少なく計算が高速で、事象発生後に広域の変動を迅速に評価できる点です。欠点は大気遅延や時間的・空間的デコリレーションの影響を受け、長期・緩慢・ミリ単位の変動の検出が難しい点です。地震同時変動、大規模崩壊、火山活動など規模の大きい事象に適します。
PS-InSAR(永続散乱体、Persistent Scatterer InSAR)
PS-InSAR は長期時系列画像の中から位相が安定した「永続散乱体」(建物の角、裸岩、人工構造物など)を探し出し、それらの点ごとに時系列を構築してミリ単位の精度を達成します。都市や構造物が密集する地域で強みを発揮しますが、植生被覆地では安定した反射点が乏しく機能しません。都市沈下、建物と橋梁、堤防やインフラの長期点ごとモニタリングに適し、必要に応じて人工コーナーリフレクター(CR)を設置して補強できます。
SBAS-InSAR(小基線サブセット、Small Baseline Subset InSAR)
SBAS-InSAR は時間的・空間的基線の小さい画像ペアを選んでサブセットを構成し、デコリレーション効果を低減して、面的に変動時系列を再構築します。PS-InSAR と比べ、植生被覆地・農地・地形変動が激しい地域でより安定して機能し、より連続的な変動場が得られます。地盤沈下、地すべり危険域、集水域などの広域面的モニタリングに適します。
選定方法
以下の問いを順に判断していきます。
- 事象的・大規模な変動で、迅速な評価が必要か? → はい、DInSAR を選択。
- 対象が都市・構造物・岩盤などの安定反射点で、点ごとの長期時系列が必要か? → はい、PS-InSAR を選択。
- 対象域が植生被覆または地形変動が大きく、面的な長期変動場が必要か? → はい、SBAS-InSAR を選択。
- 広域性と重点精度の両立が必要か? → InSAR の広域調査でホットスポットを絞り込み、GNSS で重点箇所をリアルタイム監視。
実務では3つを組み合わせて使うことが多く、まず InSAR で広域選別し、次に現地モニタリングで検証・リアルタイム追跡します。
台湾での適用事例
InSAR 技術は台湾において、大規模崩壊危険域、地盤沈下、都市沈下の広域モニタリングに広く適用されています。瑞模德科技は完全な InSAR 衛星レーダー変動解析サービスを提供し、GNSS や現地センサーデータと統合できます。
よくある質問
Q:InSAR モニタリングには現場に機器を設置する必要がありますか? 不要です。DInSAR、PS-InSAR、SBAS-InSAR はいずれも衛星レーダー画像を利用するリモートモニタリング技術であり、対象地域の画像を取得すれば解析できます。
Q:3つの手法を一緒に使えますか? 可能であり、よく行われます。まず DInSAR/広域調査で範囲を絞り、次に PS/SBAS で長期時系列を構築し、必要に応じて GNSS の現地検証を併用します。
Q:InSAR が計測する変動はどの方向ですか? InSAR は衛星視線方向(LOS)の変動を計測します。昇交軌道・降交軌道のデータや GNSS を組み合わせることで、鉛直成分と水平成分を解算できます。
お客様のモニタリング要件に適した InSAR 手法の選定でお困りですか?お気軽に瑞模德科技までお問い合わせください。